THE ART OF MOBA:真剣勝負の際でのドラフト

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著者:Jordan “Leviathan” Thwaites氏
訳:Sowhat

はじめに

Leviathan氏は、LoLの大会、NALCSやEULCS出場チームでコーチとして活躍していた方です。Gambit Gamingを4位に導き、2014年度のサマースプリットのAllianceをEULCSで一位に導くという成績も残しています。そんな輝かしい経歴を持つLeviathan氏が、自分の経験や考察を基に、勝負に大きな影響を与える”ドラフト”のあり方や、気をつけるべき点など書いたコラムを、本人の許可を得て、若干分かりやすい表現にした上で翻訳しています。

文中に出てくる単語メモ

チャンピオン:League of Legends(以下:LoL)でいうキャラクターのこと。
フレックスピック:LoLの場合、基本二つ以上のレーンにいけるようなチャンピオンのことをフレックスピックという。
ドラフト:お互いのチームが、3体まで使用禁止チャンピオンを選択するBANと呼ばれるフェーズと、交互にチャンピオンを選んでいくフェーズのこと。
メタ:システムの調整などで、その時によく使われるようになるチャンピオンやアイテムのこと。
(チャンピオン):プール使えるチャンピオン、選択肢の幅。
カウンターピック:自分のチャンピオンに対して相性がいいチャンピオン。相手にくると勝つことが難しい。
マッチアップ:味方のチャンピオン対相手のチャンピオンの対面のことを言う。

以下より、本文訳です。

イントロ

(ドラフトは)サポートスタッフがゲームに影響できる最後の場であり、準備が評価される場でもある。勝つチーム構成をドラフトするには、情報の詳細な分析が必要である。ゲーム内の各チャンピオンを評価し、そのチャンピオンの強みと弱み、そしてそのチャンピオンのゲーム内かつドラフト内での影響を考えなければいけない。

ドラフトを自信をもってするためには、常にデータを編集し分析する必要がある。いつ、全体の戦略を柔軟に変えることができるフレックスピックをするのか、もしくは、しっかりと決められた戦略に専念するためのピックをするかを、理解しなければいけない。

完璧な構成などはないが、ドラフトを通してチームに最大の有利を与えることができる。この記事は、”どの情報を収集するべきであるか””どのような要因を考えると良いか”。そして、プロシーンでの具体例を挙げる。

 

コンテンツ

チーム構成のドラフトに関しては以下の要因がある:

チャンピオン評価とピックの優先度
各チャンピオンを強み・弱みを正確に把握すること

チャンピオンの評価を用いて戦略をたてる
両チームの情報をもとに、ドラフトのシナリオを立て、自分のチームに一番有利なドラフト順番を予測する。

ステップ1 BAN
BANの正しい使用方法を理解し、最大の価値をみいだす。

ステップ2 ピックの始まり
情報をもとに正しいピック優先順をたてる。フレックスピックと戦略に専念することの重要性を理解。

ステップ3 戦略をかためる
最後のピックをし、相手より戦略的に有利な構成を作ろう。

ドラフトの評価とゲームのシナリオをたてる
最後のピックによりゲーム内でどのような戦略をするのか決まる。各チームの強み・弱みを把握し、チームに自信を持たせる。

プロの試合での具体例

 

・チャンピオン評価とピックの優先度

正しくピックをするには、全チャンピオンの強みと弱みを正確に評価することが必要だ。各チャンピオンは以下の基準で評価するべきである。

このチャンピオンは対面を見ず(ブラインドピック)どれぐらい強いのか?相手のカウンターピックにより封鎖されるチャンピオンか?例えばMorganaが空いているのにViをピックしているのか?

全段階でのチャンピオンの力を把握する。レベル1,2,3から18まで、そして完成したアイテムでの力の変化を把握する。各チャンピオンはゲームの違うタイミングで特定の強み・弱みがあり、どのチャンピオンがどのタイミングで強いかを把握するのが成功へつながる。

今のメタチャンピオンに対して、そのチャンピオンはどれくらい強いのか?相手のチャンピオンプールにカウンターピックはいるのか、もしくは現在のドラフトの進行で、自分のチャンピオンや戦略は相手にカウンターされない状態か?

チャンピオンが有利や不利になったとき強くなるタイミングはいつなのか?このチャンピオンがゴールドと経験値で有利をとったときに、そのリードを使ってより大きな有利にできるのか?このチャンピオンが不利になったとしても、チームが勝つために貢献できるのか?

このゲームのどの要素でこのチャンピオンは強いのか?今のメタにいるチャンピオンに比べレーン戦がどれくらい強いのか?レーン戦が終わり、相手のチームがマップ全体にプレッシャーをかけてきたときにどのような強みを発揮するのか?そのチャンピオンはレーンのコントロール、相手を一人一人とる能力(ピック)、もしくは集団戦の全体の影響力があるか?

 カウンターピックの価値を把握するのも重要である。例えば相手がViをロックしたのであるなら、Morganaの価値は上がる。自分たちがViをピックしたいのであれば、相手がMorganaをピックできない環境を作ることが重要である。例えば、Banする、ピックする、もしくは相手がピックできない状況でViをピックする。

自分のチャンピオンの自由度、フレックスピックとしての可能性はどれくらいか?チャンピオンがより多くのレーンにいける場合、ドラフトをさらに強力にする。フレックスにすることにより、相手にとってピックが難しくなり、さらに言えば、いいタイミングでフレックスピックをすると、ドラフトがより有利になる。

チャンピオンの全体的な影響力はどれくらいか?現在の環境では、このチャンピオンの強みを生かせるのか?強いアイテムと、アイテムの購入順番は、このチャンピオンを使う際に相性はいいのか?

世界全体のプロシーンのチャンピオンの成績や基礎情報。このチャンピオンの勝率は高い?低い?平均?もしくはその数値によりこのチャンピオンの影響力の方針がわかる?

 

・チャンピオンの評価を用いて戦略をたてる

チャンピオンをわかりやすい、ランク付けされたものに整理した後、ドラフトのシナリオを作り始めることができる。そこから自分のチームがドラフトで勝つための、最適なシナリオを構築できる。両チームのプレイヤーを考えて、以下のことを考慮してもらいたい。

両チームはどのようなプレースタイル・チャンピオンが得意なのか?どっちかのチームがある特定のチャンピオンやスタイルを好んでいるか?そのチャンピオンかスタイルの弱点を突けるか?もしくは相手の実行方法に癖があるか?この情報は自分の構成を組むときに重要である。
(例:相手チームの平均ゲーム時間が25分以下であれば、基本的には序盤でゲームを終わらせることが得意だとわかる。序盤に強いチャンピオンを排除し、こっちのチームは強いミニオン処理とゲーム時間を長引かせれるチャンピオン、さらに終盤強くなるチャンピオンをドラフトすれば勝つ確率は上がる)

お互いのチームのメンバーのチャンピオンプールをレーンごとに整理し、各チャンピオンの成績を整理する。お互いのチャンピオンプールを把握することにより、ドラフト中に予想外なことをやられる確率は減る。特定のマッチアップのときの互いの勝率も把握できれば、プレイヤーに関してより深く考察できる。
(例:NALCS DignitasのAzingyというプレイヤーはZacというチャンピオンを使うことが許されるとプレイヤーとして本来のレベル以上の能力を発揮する。もしプレイヤーがS評価のピックではなく、AかB評価のピックにすれば、プレイヤーのゲーム内での影響力を減少できる。)

序盤のピックとバンを利用して、相手に最適ではない戦略を取らせることをできるか?これは後述するSKT対KOOの例で明確である。両チームのスタイルは何だ?弱いところを強め、相手の弱いところをさすという戦略はこのゲームにおいて重要なことであり、無視はできない。反対も同じだ。自分のチームは普段どのように勝つ?相手はどのようにゲームを終わらせたい?その要素を認識して理解していれば勝率は上がるだろう。
(例:Season 5の春シーズンのEULCSのGambit Gamingは、Cabochardという選手に有利を作ることに重点を置いていた。彼が試合を勝利に導けそうなチャンピオンをバンし、彼のレーンのほうにプレッシャーを与えれば、相手チームの勝率は下がるであろう。)

シナリオを立てているときに、最悪なケースも考慮しておくべき。相手のチームがドラフトでミスする傾向があるとわかっていても、そういう仮定をするな。相手は、自分のチームの戦略のカウンターを持っていると仮定し、相手の最適なカウンター戦略が自分の戦略でも耐えられ、ドラフト面では勝ったと思えるような結果にするべき。
(例:Gambit Gaming vs. H2K Week 7 EULCS 2015年度 Springスプリットを見ると、3回目のピックで相手にMorganaを渡していいという判断をした。それは、相手のサポートプレイヤーがそのチャンピオンをプロの試合やSoloQでも選んだことがないからだ。しかし、彼は選び、そのドラフトは負けてしまった。彼の能力を見誤って、それがミスであった。)

ドラフトはチェスの試合に似ている。全部のゲームの始まりかたは同じで、相手の戦略に対抗する戦略を持ちだすのも、そして相手の戦略に対応するのも自分の責任である。ドラフトを事前に準備し、1回目、2回目のピックで何をとるのかをあらかじめ準備しておくべきである。

相手の反応を予想し、そして予想外なことをされた場合、相手がなぜそのような行動をとったのか考えるべき。多くの人は、相手が間違った行動を取ったと思い込み、ピックミスしたとだけと思い軽視してしまうことが多いだろう。プレイヤーが相手のピックを馬鹿にしたことは何度もある。しかし、相手の知識をなめてしまうと、痛い目にあってしまう。何で相手が選択したかを考え、相手の戦略に対応するように準備しておく。

 

ステップ1:BAN

どのチャンピオンをバンするか選ぶとき、以下の項目を確認しなければいけない。

相手のチームがどのチャンピオンが得意なのか?相手がある特定の戦略である特定のチャンピオンを選んだら、チームの勝率が上がるようなものはあるか?

相手のチームと自分のチームに優先順位の高いチャンピオンがいるか?たとえばチャンピオンAが両チームによって使われているチャンピオンであり、今のメタにあっているチャンピオンである。ドラフトでは先にピックでき、チャンピオンAではなくチャンピオンBをピックしたいとする。その場合、相手にチャンピオンAが行くことによる結果を考慮するべきだ。あるシナリオでは、そのチャンピオンをバンしたほうがいいだろう。

メタではないピックを使う最適な戦略、もしくは相手に特定のチャンピオンがないことを前提とするピックを使う予定であるか?
(例:相手は動けないレーナーしかピックしないため絶対Viをピックしたいという場合、相手にMorganaなどのチャンピオンを取られないようにしないといけない)

お互いにわたるOPピックも管理しなければいけない。絶対倒せないチャンピオンというのも存在する。Season 5の春のNidaleeや、Season 4の世界大会のパッチのRyzeが思い浮かべる。ある時は一体しかいないが、たまに数体いることもある。ある時は、相手に強いチャンピオン渡さなければいけない状態が発生するかもしれない。

お互いに何体OPピックが渡されるか把握して、さらにOPピックがわたったとしても自分側に有利なマッチアップが来るようにしなければいけない。そうした場合相手のOPピックの力が軽減される。

 

ステップ2:はじめのピック

はじめにバンの戦略を建てたあと、自分がどのような構成を選びたいのか考えなければいけない。ドラフトの序盤は重要である。はじめの循環でチャンピオンを選んでるときに、以下のことを考慮しなければいけない。

まずはじめに、どのようなピックをしたいか隠したいか?多様性のあるジャングルかサポートを最初にピックすることにより、自分の戦略を隠すことができる。そして、相手の戦略がわかるようなピックに反応でき、よりよい構成をドラフトができる。もちろんこのように急に対応性のある構成は、全体的に見たとき、対メタゲームは弱いが、相手の戦略と勝ち方をすでに明らかにしている相手の弱点を突き、より細かいピックをできるのではないかと考えられる。

 すぐに自分の戦略を見せたいか?たとえば、初手Luluピックを見せることにより、相手にこっちは終盤強いハイパーキャリーを選択したいと思われる。はじめに自分の手を見せるのは危険であるが、しっかり準備・研究し、相手がどのようなピックをしてきたとしても確実に勝てるという場合ならピックしてもよい。相手の強いアサシンや戦略に対するチャンピオンをバンし、相手から最強のサポート系チャンピオンを取ることにより、相手には最適ではない戦略で試合に挑ませることができ、さらに最適ではないチャンピオンでその戦略に挑まなければいけない。ドラフトからすでに有利になる。

 

ステップ3:戦略をかためる

自分のチームが始めの選択肢をした後、常に相手のピックを評価し、相手がどのような構成を考えてくるか予想しなければいけない。相手がちゃんと準備をしてきたと予想し、この試合に挑むのに最適な状況であると仮定しなければいけない。自分の手元にあるデータを使い、相手のピックを予想することがドラフトで勝つことに重要である。

相手はチャンピオンAとBを選択した。相手はこのチャンピオンと一緒にどのようなチャンピオンを使う?相手のピックはどのような構成・戦略に当てはまる?相手のパワースパイクと弱い時期はいつだ?相手の現在ピックしているチャンピオンに対する最強のカウンターを持っているか?

ドラフトの関係上、特定の戦略かチャンピオンが強くなったか?前まで特定の戦略が使われると思われていなかったが、特定のチャンピオンのピック・バンにより価値が上がる可能性がある。

 

ドラフトの評価とゲームのシナリオをたてる

両チームがドラフト終わり、両側のパワースパイクと停滞時期を把握するべき。両チームは自然的に構成が強い時間帯や、動きに主導権を持てる時間がある。特定のチャンピオンは1アイテムでパワースパイクを迎えたり(変化前のKogや、王剣Vayne)、あるレベルになったら対応しづらくなるチャンピオンがいたり(レベル3のNidalee,レベル6のSyndra,レベル18のJax)。

 どの時点で自分の有利をいかして、リスクをとる、そして全体的に積極的なプレーをするべきなのかを把握し、いつ相手のパワースパイクとマップコントロールを抑えるべきなのかを理解しなければいけない。レーン中のパワースパイクのときは、レーンスワップ(レーンを交代すること)も話し合うこともいいだろう。レーンスワップは、レーン中に絶対勝てないマッチアップに対してするものである。このレーンスワップにより、序盤の動きは決まってくるため、レーン戦中の力よりも全体のマップの動きに偏ってくる。

ドラフト後、ゲーム始まる前に全体のゲーム戦略を話す時間である。どういう戦略で勝利を求めていくべきか?自分のチームは4―1か1-3-1のスプリットプッシュ戦略のほうがいいか?序盤からスノーボールして、相手が育つ前に倒さないといけないか?もしかしたら構成的に終盤のほうが強いため、序盤の小さな争いやあたりなどは避けたいのではないか。

 ミニオン処理や相手のオブジェクトを取るのを阻止することにより、終盤に試合を持っていきやすい。終盤にいくということは、キャリーがアイテムを買えて、相手の序盤が強いチャンピオンが弱くなっていくということである。みんなが自分の個人の役割と、チームとしての役割を理解しなければいけない。ドラフトを実行するために必要なことである。最強の構成をドラフトするだけでは足りない。構成の強みを実行する方法を理解し、限界まで有利を押し通さなければ成功しない。

 

プロの試合での具体例

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このドラフトからとらえられる要点は以下だ。

 SKTはTahm Kench, Kalista, Mordekaiser をバンし、Rek’saiをファーストピックする。このRek’Saiピックにより、2循環目でKOOがピックする構成に対応するチャンピオンを選ぶことができるTahm Kench, Kalista, Mordekaiserを排除した結果、相手にTahm Kench抜きのキャリーを保護する構成をピックさせる。KOOとしては、一循環目でLulu, Tahm Kenchを選んでいただろう。

ただし、Tahm KenchとLuluは互いのレーンでS評価のチャンピオンであるため、構成をカウンターしにくいのでTahm Kenchはバン。何にもない状態でRek’Saiより強いLuluをSKTはとることができたが、Luluに対してのカウンターがあったのだろう。

KOOはLulu Alistarを一循環目でとるという行為により、Luluはソロレーンであることが明らか。ソロレーンLuluは終盤強いキャリーとあわせるのが強いため、SKTはSivirとShenを選択。SivirはLulu構成に対して最適な反応である。

もし相手がJuggerMaw(kog’mawが前線を張る構成)をしてきた場合、こっちの前線が相手のキャリー陣に突っ込む必要がある。Sivirがそれを実現してくれる、これこそがカウンターピック。Shenは相手のキャリーをロックし、相手のキャリーを確実に倒すことができる。

 

まとめ

準備不足は、物足りない結果となる。相手よりうまくドラフトする、そしてプレイヤーを勝利に導くためには、常に腕を磨き、予想外の展開の対応力が必須である。コーチが戦略的にプレイヤーを有利にした場合、プレイヤーが勝つのが楽になる。強いドラフトは、昨今のゲーム展開では必要なものとなっている。

 

ソース:


https://www.reddit.com/r/leagueoflegends/comments/3wwzuh/the_art_of_moba_pt_1_drafting_in_competitive_play/
(LoL redditへの著者の投稿)

https://docs.google.com/document/d/1ewvJI-lTeeV9ekqYKEmWogtW1fQUR5z4mf9zKfF8jJQ/edit
(原文)

記事を書いたライター

英語からの翻訳がメイン。時々LoLのコラムも書きます。
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